私の世界は、この狭い塔の中——
『お前の持参金としてあの土地を失うわけにはいかない』
強欲な父によって、18年間塔に幽閉されて育ったアナ。
その生活は敵対する
殺された婚約者の仇討のため仇敵フレイザーの城に攻め入った彼は、不本意にも敵を取り逃した足でその娘を救う羽目に。そればかりか、国王から『両家和睦のために婚姻せよ』との命が下る。
王命ゆえに従わざるを得ない二人の心にあったのは、相反する思いだった。
『君を愛することはない。なにがあろうと、この憎しみが未来永劫消えることがないように』
『それでも、いつかは。いつかは私を愛してくれるだろうか』
やがて、互いの心に触れた二人は夫婦として愛し合うようになるが、甥ライアンの元へ逃げのびていた父が、国王の許可を取り付け報復の狼煙を上げる。
「あの邪魔な男がいなくなればすべては元通り」
幼い頃からアナに執着していたライアンもアナに魔の手を伸ばし、死か服従か。選択を迫られた時、アナは捕らわれた二階の窓から身を投げる。
何が起ころうと、君のすべてを受け止める——誓いを果たしたレオの腕の中で、ようやくアナは幸せを手に入れる。