保険会社の事務として働く後藤史花は、恋人の小田翔吾と一年ほど付き合っている。
翔吾は史花との将来を考えていたが、史花は彼との結婚にあまり前向きになれずにいた。
そんなとき、史花は十四年ぶりに二宮侑弘と再会する。彼は、かつて一緒に暮らしていた母の再婚相手の息子で、史花にとっては兄のようであり、初恋…



思い出すのは、


ともに過ごした優しい時間と、


別れた日の切なげなまなざし。



それから、湿度を含んだ夏の熱気。




もし、今の私の目の前に彼が現れたなら。



もう一度、手を差し伸べられたなら。私は――。



2022/12/7〜更新