人魚姫の泡沫 ~マーメイドシンドローム~

作者雨色銀水

人魚姫症候群――
いつしか世界には、そんな病が蔓延していた。

「一番大切な人のことだけ忘れてしまう」
大切に思えば思うほど、心を込めれば込めるほどに、記憶は泡のように儚く消えてしまうのか。

「僕はきっと、君を忘れ去っていくのだろう」

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「君を忘れない。ただそれだけの約束も守れないなんて」

 それでも記憶は、何度でも胸の奥で息を吹き返すだろう。