28歳の東條すみれは日用品メーカーの営業部に勤めていて、営業成績優秀、部下や上司からの信頼も厚いキャリアコースを歩んでいた。彼女の努力する目的は「昔、自分を振った男を見返すこと」であった。仕事の休憩時間に元彼のSNSを習慣のようにチェックしていたところを、開発部の同期・佐伯春に見られてしまう。「そんな男のためじゃなくて、俺と勝負しない?」と春はすみれを半ば脅して、仕事の成果を競って負けた方が勝った方の言うことを一つ聞くという約束を交わす。


一回目のコンペ勝負ではすみれが負けを認め、春が勝利する。春は「二人の時は下の名前で呼ぶ」ようにすみれに頼んだ。すみれのコンペ企画が通ったことで、すみれと春は限定ショップのスタッフを任される。そこで商品購入に繋げた数を二回目の勝負内容とした。整った顔立ちと巧みな言葉で女性客に商品を薦める春に対し、髪以外の悩みまで聞いて一人のカウンセリングに時間をかけすぎるすみれ。勝負は春が圧勝する。三回目の勝負でついにすみれが勝利するが、仕事の調子が良くなったと周囲から指摘されていたこともあり、「勝負を辞める」という命令は出さなかった。


何度か勝負をする中で春の仕事に対する情熱や人としての優しさを知って次第に惹かれていくが、元カレのことが引っ掛かっていた。そんな時、新しい取引先との顔合わせで元カレと対面する。動揺するすみれだったが、元カレに自分の想いをぶつけることで長年の呪縛から解放されて、春との関係を進めることを決意する。同じようにすみれに惹かれていた春は、すみれに告白し二人は付き合うことになる。