拝啓 愛されたかったあなたへ【完】

作者鏡の中のことり

これは私がWへ宛てた手記である。
Wがこの手記を読むことは決してない。
なぜならこの手記は日本語で書かれているからだ。

私とWはいわゆる国際カップルである。
ドイツで出会い恋に落ちた。
正確にはWのアプローチで私が恋に落とされた。
私はWに運命も好意も抱いていなかった。
そんな中、彼は私を無理や…

背景 w,

初めから綺麗な終わりなんて期待してなかった。

ただあなたに愛し愛される時間が愛おしかった。

その全てが嘘ではなかったと信じたい。

マルセイユの海岸で足を切ったり、寮の中庭で雪を投げ合ったり、ケルンの川辺でビールを飲んだり。

W, あなたは一生この手記を読むことは無い。




そんなあなたにこの言葉を捧げます。

あなたを愛していたかった。