オタクな生徒が俺を「柊弥たそ」と呼び、讃え崇めてきます。

作者海月いおり

高校教師になって5年目の春。国語担当の大井拓也は廊下を歩いていると、向こうから来た2人組の新入生に見つめられる。2人は文芸部に行きたいが場所が分からないらしい。
偶然にも文芸部顧問だった大井は2人を部室に連れて行くことになるが…この2人、何だかおかしい。

「柊弥たそ、本日もお疲れ様でござる!」

「…え、何?」



ある日の放課後。


今年入学してきた女子生徒に

物凄く見つめられているのだが………。



「大事件ですぞ。『きらめき☆フォーエバー』の

柊弥たそが現れたが如く……!!」


「クックック! これまでどれだけの徳を積んだか、

己に問うてみるでござる!」



な、何言ってんの?



「…あの、さ。一応教師として忠告しておくけれど、

学校内では普通に喋った方が良いよ。公共の場だから」



そう言うと彼女は眼鏡を取り出し掛けて…



「これで良いですか?」


「え、二重人格?」


「違いますよ。眼鏡でオンオフの切り替えをしているだけです」


「……」



本当に、こんな人がいるのか…。


怖いんだけど、眼鏡を掛けた彼女はどこか物憂げな様子。


静かに窓の外を見ている彼女は

何だか儚くて…今にも消えてしまいそうな……。




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文芸部の顧問をしている普通の国語教師

大井拓也・26歳

×

何やら事情を抱えていそうな二次元オタク

伊藤小夏・高校1年生



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◌◍┈「伊藤さん、大丈夫。本当の君を俺に見せて」┈⿻*.·





2024/06/07 投稿