《参の章》 夏 神 楽(なつかぐら)

作者彩 愛 美


夏は何時も

喧騒の中

血のざわめきが

熱くたぎり

額に汗した昼下がり

何処からともなく

祭り囃子が

紛れ込んで来る


普段は蝉の声

穏やかな境内に

色とりどりの

屋台が並ぶ

焼けた醤油やソースの香り

たちまちに賑わう

古びた神社に

人だかりが出来る

こんな小さな町にも

祭りがやって来る

最近薄れかけた

親子連れの行列

まだまだ

この国も捨てたものじゃ無い

そんな気がした