ひらり、はらり、【完】

作者花咲里こよみ

「僕たちの三年間は、無駄なんかじゃなかった」
季節が巡る度に、山奥の小さな村は色を変える。僕は今でも忘れられないんだ。
この村には―――彼女の面影が多すぎる。









僕たちの三年間は、無駄なんかじゃなかった

































照れたようにはにかんで

柔らかく揺れる前髪を弄る姿に、


胸の奥が締めつけられる。




温かくて心地よくて、それなのにほんの少し切ない。







これが誰かを愛おしいと想う感情なんだとしたら、


僕はもう二度と

この人以外にこの気持ちを抱くことはないだろう。







――――そう、悟った。