もう、魚は泳がない

作者はるき

SNSで知り合った男の家へ転がり続ける、ミオ。過去、駆け引き、偽り、本当の自分とは……





「今までありがとう。バイバイ」



 19歳の頃からSNSで知り合った男の家を転々と住んで生活していた、22歳・フリーターのミオ。


 ある年の初夏、住み慣れた東京を離れるため、初めて滋賀県行きの夜行バスに乗り込む。目的は、新しい「宿泊先」の家主に会うため。


 初めはただの宿泊先の相手としか彼を見ていなかったミオだが、彼の優しさに触れていき、徐々に心の変化が現れる――