木花さくや

文句なしの大作
まず物語の設定が興味深い。
戦国時代と言えば大抵の人が有名武将を思い浮かべると思いますが、この作品では身分の低い足軽歩兵である玄二朗を主軸に物語が展開していきます。
現代でいう知的障害である玄二朗は、誰よりも澄んだ心を持っており、またそれは混沌とした世では人々の光でもありました。
そんな光を理解し、慈しむのは身分は違えど心からの親愛を持って接する五郎丸と、辱しめにあいそうだったところを玄二朗に助けられた芙彌。
玄二朗と五郎丸の心の絆の強さや、玄二朗と芙彌の純愛を越えた究極の愛には、現代で生きる身としてひどく感服させられました。
しかし、世は戦国。
時代は無情にもかの有名な桶狭間の戦いへと突入する――…。

桶狭間より帰郷した玄二朗に芙彌が「おかえりなさいませ」と言ったシーンでは、涙が止まりませんでした。
作者様の深い知識と卓越した文章能力には脱帽です。
現代日本で生きる私達には、ぜひ一読する必要がある作品だと思います。
武将格好いい!だけでは終わらない戦国時代小説『はなの河』。
作者様、素晴らしい作品をありがとうございました!!