流星
二人の「夜明け」
この作品を読み始めた時、片思いの女性(花井さん)をDVから救い出す、主人公の男性のヒーロー的物語かと思いました。
DV彼氏から逃れられない花井さんには、「どうして我慢するの?」と疑問を投げかけ、主人公の男性には「頑張れ!」とエールを送りながら、読み進めました。
案外あっけなく、花井さんは彼氏と無事破局成立。
その後自然の成り行きで、主人公と結ばれたわけですが・・・。
こうすんなり話がうまく進んできたのには、大きな理由がありました。
花井さんの性癖。
主人公は愛するがゆえに要求を拒み、自分なりの愛し方を貫いてゆこうと決意しますが・・・。
そこで物語は終わっていますが、この後二人の見た夜明けが幻なんかではなく、確かな朝日を見られるよう願わずにはいられない、そんな作品でした。
そして一見爽やかな作風ですが、時折見られる凝った表現にはひきつけられます。
「柔らかな暗闇」
「揺り籠のような狂気」
「生温かい真空」
まるでヴィジュアル系バンドの歌詞に出てきそうな、素敵な表現でした。
私ももっと表現力を磨かなければ・・・って刺激を受けました。