最中

ヒロトという人間がいい
チュンチュンと鳥の声が鬱陶しい中、吸い込まれるように読みました。前のレビューで音楽みたいとぬかした私も、もう客観的にこのお話を読むことが出来ず、必死なヒロトに溺れるように…気づいたら徹夜です。

少しミステリアスだったヒロトがよく分かったこの彼サイド、3作目というタイミングが素敵。ふたりが分かり合えてなかったからこそ察せなかったヒロトの心、やっぱりもう少し考えて行動なさいと思ってしまっていた円ちゃんの心、それからあのときは分からなかった今田くんの心…。普通にヒロトの自覚の方が早くて笑いました。普通女の方が早いもんじゃないか?とユリがさらに愛しくなりました(笑)ヒロトお前ピュア過ぎるー!

私は捻くれた表現が好きなのですが。ほとんどそれがない綺麗で引っ掛からない文章。でも読み進めるにつれて本当にその平凡なまっすぐさがもたらす意味が胸に染みます。全く人物の邪魔をしない。そんな目線で見てからは文章が凄すぎることに今更ながら気づきました。優しくて。

出だし、太郎先輩狂の私は当然悶絶うっはー!前作の最後のページの素敵な文章と合わせて温かくなり、また苦しく、移入し過ぎて止まりません。