目が覚めたら、知らない部屋だった。
「お目覚め?」
「だ、れ……?あたし、なんでここに……」
「俺がお前を誘拐したから」
気づけばあたしは、見知らぬ男に誘拐されていた。
足枷のついたこの身。
自分の世界はこの真っ白な部屋。
「家に帰して」
「ダメ。お前はもう、俺のものだから」
じゃらりと奏でる鎖の音。
あたしの体を捉える鋭い瞳。
「愛してやろうか」
捕らわれたのは、きっと体だけじゃない。
凍てつくような瞳に
あたしは最初から心も捉われている。
だけど決して忘れてはいけない。
「お願い……。愛して」
彼が……
誘拐犯であることを―――。