それが罪だとしても…【完】

作者美憂

目が覚めた瞬間、あたしの足首には足枷がつき、見知らぬ男に囚われていた。彼はあたしをさらった誘拐犯。そんな彼を愛してしまうことは、おかしいことなのだろうか……。

 

目が覚めたら、知らない部屋だった。



「お目覚め?」

「だ、れ……?あたし、なんでここに……」

「俺がお前を誘拐したから」



気づけばあたしは、見知らぬ男に誘拐されていた。



足枷のついたこの身。

自分の世界はこの真っ白な部屋。



「家に帰して」

「ダメ。お前はもう、俺のものだから」



じゃらりと奏でる鎖の音。

あたしの体を捉える鋭い瞳。




「愛してやろうか」




捕らわれたのは、きっと体だけじゃない。


凍てつくような瞳に

あたしは最初から心も捉われている。



だけど決して忘れてはいけない。




「お願い……。愛して」




彼が……


誘拐犯であることを―――。