いつも空を見ている①

作者汪海妹

香港日本人学校、中学生の千夏ちゃん。学年で人気のある三井君に面白半分で告られたせいで、学年の天使星野ちゃんに目をつけられてしまいます。静かに暮らしたい千夏ちゃんは、同級生の一樹君の助けを借りて既婚のイケメン、双葉先生が好きだという嘘を噂として流してもらいます。そしたら先生が勘違いしてしまい困ったこ…

「わたしはね、無から何かを作ることができる人を尊敬してるの。自分ができないから。」

「そうなんだ。」


すごく悲しくなった。自分が虚しくなった。好きだという気持ちと尊敬するという気持ちは同じものではないのかもしれない。尊敬しなくても好きだったり、あるいは尊敬して好きだったり、尊敬してるけど好きじゃなかったり。よくわからない。ただ、ただ、その悲しさは、自分を好きになって欲しいというただの僕の気持ちだった。こんな顔で、こんな笑顔で、僕を好きだと言って欲しい。そして、そう願っても、思っても、それが叶わないのもわかっていて、それが辛かった。こんなに辛い思いをしたのは初めてだった。

…本文より抜粋 by 京極一樹 14歳