「わたしはね、無から何かを作ることができる人を尊敬してるの。自分ができないから。」
「そうなんだ。」
すごく悲しくなった。自分が虚しくなった。好きだという気持ちと尊敬するという気持ちは同じものではないのかもしれない。尊敬しなくても好きだったり、あるいは尊敬して好きだったり、尊敬してるけど好きじゃなかったり。よくわからない。ただ、ただ、その悲しさは、自分を好きになって欲しいというただの僕の気持ちだった。こんな顔で、こんな笑顔で、僕を好きだと言って欲しい。そして、そう願っても、思っても、それが叶わないのもわかっていて、それが辛かった。こんなに辛い思いをしたのは初めてだった。
…本文より抜粋 by 京極一樹 14歳