このアパートは私にとっての天国だった。住民との距離感、自分の問題、それから――好きな人と紡ぐ日常の話。

このアパートは、私にとって天国だった。



いただきますの挨拶の後、彼には私が見えなくなる。


噛み締めるように目を細め、



「――美味い」 



ぽつりと小さく呟くのだ。




そのはにかんだ顔が見たくて、今日も私は待っている。



彼と食べる、夜更けのディナー 




【2012年09月21日 開始】

【2012年12月31日 完結】