祖母を亡くし、ただ生きる為に夜の街を徘徊する彼女が出会ったのは、黒を纏った男。
互いに持つ黒い香りに惹かれ合う2人が、本物の思いに辿り着くまでの物語。



漂う香りは五感をすべて支配し、染み込み始めたそれは、全身を巡り身体の一部となり、やがて目覚める。




7de5813d6770【Black Portion】



毒と呼ぶにはいとしすぎ、薬と呼ぶには切なすぎた。





「お前は俺だけ見てりゃいい」


「そんな生き方はつまらないわ」


「全てを取り上げて監禁してやろうか」


「出来るものなら、やってみなさいよ」


「逃げられると思うなよ」


「捕まえられると思わないでね」

 


漆黒が侵食した心に、狂気が共鳴する。


囚われたら最後、もう抜け出せ無い。



芳しいその香りに囚われたのは、いったいどちらが先だったのか。


闇に囚われた者達の、狂喜に満ちた宴が今始まる。