mimiko

男前の芸者さん
常葉さんの
「あえて口にはしない想いもあるんだよ」
の言葉に泣きそうになりました。

大人の女性にしか言えない言葉だと思いました。
いい女です。
この後、黙って姿を消す潔さは、もうあっぱれ過ぎて、声もなかったです。


お話は、主人公の成長物語。
乗り越えるべき父と守るべき家族を腕に抱え、
常葉さんの言葉に導かれ、立派に成長していきます。
その姿は凛々しい若武者のよう。

設定が古式ゆかしい、大会社の御曹司だからでしょうか。
美和子ちゃんの「兄(あに)さん」という呼び方といい、
家の格式を感じさせる家族の話し方といい、
芸者という立場の女性がポンと出ても、まったく違和感を感じさせない舞台設定作り。
すごいと思いました。

文中にもありましたが、常葉さんが例えばキツネだったとしても、私は驚きませんでしたよ。はい。

秋の夜長にふさわしい、情緒たっぷりの大人の読みものです。