あの夏。兄と『声』とを失った自分は坂道を上った・・・ 兄の最後の恋人と暮らす為に。せつな。あの切なくも優しい日々をきっと忘れない。夏が巡り来る度きっと・・・
あの夏。
兄と『声』とをなくしてから、坂道を上った。
この急な坂の上の 赤煉瓦の洋館を目指して。
せつな。
あの優しい時間を、きっと忘れはしないだろう。幾度でも思い出すのだ。
夏が、また廻ってくる度に……