あずま

優しくて切ない
この物語を通して一貫し、書かれたテーマは

『魂の再生』

なのだと感じました。


主人公の真咲は兄と声を失い。
せつなは最愛の恋人を亡くします。

悲しい『喪失』によって引き寄せられた二人を軸に、物語はそれらの痛みを如何に乗り越えて行くのかが綴られて行きます。


『純文学』というジャンルに相応しい、とても上品で細部まで設定の行き届いた作品でした。


哀しみを経て、やがて生まれ変わる二人の姿は作中随所に『蓮の華』と言うモチーフで表われます。


作者様の言葉を借りて、これは

『切なくも優しい、少し不思議な。ひと夏の物語』

と、紹介します。


素敵な作品をありがとうございました。