嵐 万凛子

響く、希望の。
ああ、このような場所と時間が私にもあったなら。

坂の上の刹那。それは私には羨望以外のなにものでもなく。


愛する人をみすみす死なせる、人は誰もそうだ。

別れは確実に訪れ、如何なる奇跡も起きたりはしない。

これは、喪失のあとを、共に生き抜いた二人の女性の、おとぎ話のような再生の物語。

描写はすこし古風な筆致、だからこそ台詞はリアルで生き生きとしている。


私にもたしかに希望の産声は聞こえ、
許された彼女らがあまりに羨ましく、涙が溢れた。