あんず
脆くてでも温かくて優しくて
兄と声をナクシて主人公は兄の恋人せつなに出会う。
主人公ははひと夏で何かを掴んだわけではなく
再生した。
ナクシタものは消えてしまったわけではなく
現在を生きる足元を照らす灯。
未来の光はあまりにも脆すぎるから。
少し歩き疲れた私たちに、無理なくすっと沁みこんでいく再生の物語。
優しくて切なくて。
主人公を取り巻く温かい人たち、また、誰かのために一生懸命になる主人公に心が洗われたような気持ちになりました。
作者様の語彙力、表現力には圧倒。
次々と流れてくる輝く言葉に埋もれていくような感覚です。
魔法の力を持った一文一文と象徴的な一単語一単語を味わい噛みしめて読んでいただきたい一作。