流星

白い梅の咲く頃に
何もかもが恵まれているにもかかわらずそれが今一つ認識できず、周囲への形のない反発心を抑えきれずに学校では問題児とカテゴリ付けされている少年・政隆。
人並み外れて荒んだ反抗期の最中です。
そんな彼は実家から離れた祖父母の邸宅に「強制疎開」させられています。

その地でまるで白梅の精のような、「ナギ」と出会います。
年齢も性別も不詳、本当に妖精のような風貌でした。

ですがその人間離れした風貌は、過酷な家庭環境によって形成されたものだと判明。
その事実を受け止めていく過程で、政隆はいつしか他者を傷つけることよりも、守ることのほうが大切であることを知っていきます。

劇的な変化ではありませんが、徐々に成長していく政隆の変化が、読み進めるにつれて実感できていきます。
そしてナギとの関係・・・。
成長過程で両親からの愛を全く知らずに育った彼女もまた、政隆との出会いによってようやく生きることの楽しみを見つけられたようです。

二人の成長に重要な役割を担う、政隆の祖父母夫妻も素敵な人たちでした。

読み終えるとじわっとした感動が胸にしみてくる、素晴らしい作品でした。