杏花

黒く、深く。
はっと息を呑むような、深く底が見えない闇。


玲を憎んでいる圭は彼女が嫌がる風鈴をつけて彼女を待つ。


自分の日常を掻き乱す彼女が傷付けばいいと思う圭が持つのは、彼自身を浸蝕しそうな程ぐにゃりと歪んだ感情。


玲の弱さと圭の脆さ。

二人が脆弱を纏うと、風鈴が揺れて。



風鈴の音が遠く耳を衝くような胸のざわめきが、読み終えた後にどっと押し寄せてきました。


一言では言い表せない深さを持った魅力ある作品です。


素敵な作品をありがとうございました。