ノラ猫姫の街

作者ちがや



暗い暗い街


電灯、夜空、星


私を照らすそれに不思議と手を伸ばしていた。






────貴女の名前はなんですか?



さあ?





────何処から来ましたか?



さあ?





────何時から此処にいるんですか?




さあ?










私はノラ猫。



名前は、まだない





『ノラ』




此処は私の街


此処は私の場所


此処は私のお気に入り







呼んで呼んで私の名前


教えて教えて私の居場所






記憶が無いのはきっとそれが要らないものだから。


名前が無いのはきっとその名を呼ばれなかったから。