紅蓮

考えさせられました。
性犯罪について、また被害者に対する差別的な視線についての問題提起作品。
辛い体験をした主人公は勇気を出して彼氏と友人に告白するも、結局は事件の重さをちゃんと見つめてはくれなかった。

被害者の苦悩や事件に対する人々の無関心さ、ひいては人間関係の希薄さまで感じました。
今の世の中では、結局被害者自分ひとりでなんとかするしかないんだよ、と言われている気がして、胸が痛いです。
作者様の訴えたいことが十分伝わり、素晴らしい作品だと思います。

しかし個人的には、告白し裏切られてEND…えっここで終わり?ってなりました。
事件被害者が独りで辛い思いを抱え続ける、そんな寂しい世の中を変えなくちゃいけないんだ、というのが主題であるのはわかるのですが、
それならばこのあとの主人公の再生の過程も物語に含めれば、より一層深みがでるのでは、と思います。
このようなテーマは安易に想像で書くことはできず、限界も抑制もありますが、小説だからこそ、主人公にひとすじの光を残して欲しかったです。

素晴らしい作品をありがとうございました。