重い過去を背負った美しい両性具有のハーフエルフと、人間と魔物の間に望まれない子として生まれたために捨てられた少年との、暗く切なく優しい恋愛ファンタジー。

私は母の胎内から、ただ零れ落ちただけの存在に過ぎないと思っていた。


そう、ちょうどあの虚しい涙の滴のように


乾き、消えゆくためだけに生まれたのだと……





淵───水が深く澱んでいるところ。容易に抜け出せない苦しい境遇。