刈り取る者
読者を引き寄せる、表現力
流石、作家としてデビューされたと、いうこともあり。文章は申し分ありません。
ただ、過去編ということもあり。~た、で終わる文章が多いのが、気掛かりな所。
過去といえども、流れ重視で。~たを使わないことも、アリなのでは?
ストーリーは、非の打ち所の無い仕上がりようですね。
私が良く思えたのは。
感情が抑え切れなくなった、孝之が兄である康介に喧嘩をし、階段を落ちるシーン。
心の拠り所を求め、過ちを犯した事を、悟られたくない気持ち。その闇な部分を、垣間見た。「堕ろせ」という言葉。
由佳子さんの、本当の優しいを表現する為に。わざと孝之の暴行に、抵抗しなかった訳。
どれもこれも、胸を揺さ振るような感動を、読者に与えてくれました。
伏線もなかなかのもので。
携帯の番号を知っていた事。
偽善者という言葉。
海で作った、砂の城。
どれも、アッと言わすような、隠し具合で。感心の念で、一杯です。
ただ、意見を言わせて貰うならば。孝之の成長が、無い所が。物語の深みを、減らすと思いました。
続きは、掲示板にて。