「もう、いいや……」
そのひと言を最後に、ある一人の少女がこの世からいなくなった。まだ、17歳だった。
あまりに唐突で、信じられない光景を目の当たりにした少女の弟は、やがて世界中から色彩がなくなってしまったような
灰色の毎日を過ごすようになる。
だが、その少女がいなくなってしまってから、12年。
灰色の毎日を過ごしていたのは、何も彼一人だけではなかった……。
理由も分からないまま、突然姉の死を目の当たりにして心の時間が止まってしまった少年の周囲には、
同じように彼女と関わりを持っていた人々がいた。
彼らはその12年間、何を思い、何を知って、どのような道を進んでいくのか。
これは、『あの日、姉は確かに17歳だった』の主人公とその姉に関わった人々の別視点から捉えた
それぞれの物語だ。
(完結作品)