千鶴くんがくしゃみをした。【完】

作者野々村ほのか

恋をするのに理由なんてない。


「おはよう、花菜ちゃん」

彼と居たい。
そう思う瞬間なんて人それぞれ。




高橋くんが笑ってる。


その正面では

彼女である菊地さんが携帯を見ていて。





教卓には若くて人気の田中先生を囲んで

クラスメイトたちが盛り上がる。







吉井くん、まゆちゃん、麗香。

木村くん、ゆうたろう、聡くん。



そんな皆と変わらなかった。






「…へっくしゅ、ん」



この、なんとも可愛らしい

" くしゃみ " を聞くまでは。








好きになる理由なんて、人それぞれだ。