小さく震える手にはマッチ
タイトルにピンと来た方は華月さんの作品を見てにやりとするといい。

酒びたりでワガママな男が、不思議な少女に出会い何かを取り戻そうとする話。
新たなマッチに手を伸ばすたびに、一つずつ何かを取り戻していく過程は、優しさに満ちている。

少し斜に構えて見るなら、大事に使えと言われて渡されたマッチを惜しげもなく次々と使ってしまうのは、この男が愚かだからだろうか、それともそれほどの寒さを感じていたのだろうか。
そこまで寒くなるまでほっておいたんだからやっぱり愚かなんだけど。

多分これ、私が書いたら「何だかんだで決意したフリしてまたいつもの生活に戻って自己嫌悪を繰り返すけど結局どうすることもしないまま終わるダメ人間」っていう酷い話にするんだろーなー。
温かい話として終わりにしたことで、華月さんの優しさがよく分かる話になっている。

一人称で書いてある割に男の人物像が余り見えないのは何でだろ、ちゃんと読めてないのかな。