芙佳

ほのぼの優しい昔話
ホラーコメディというジャンルに惹かれ、冒頭の処刑台などが出てくる『ちょっとおどろおどろしい』雰囲気にドキドキしながら読んでみると
ほんわか優しい昔話。
いかにも人の良いお爺さんお婆さんと、猫のたまと、人の(人じゃないか)良い貧乏神が仲良く暮らしておりました。

そこへ死神が登場して……

急展開になるかと思いきや、それでもゆうるりと流れる物語。独特の優しい空気があります。ラストシーンの描写は美しくて印象的。人生についても深く考えさせられました。

でも何かちょっと物足りなさを感じるのは、
どこかでの大どんでん返しや、どこかでブラックな(ここぞホラーという)展開になるのではと、
悪魔のような期待をしていた私の心の醜さゆえだと思います。

優しい気持ちで、ほっこりと読んで欲しい作品。