幻の現実は、見えない未来を溶かしてゆく。きっと、夢は叶うって信じて。今は幻になっても。
私の過去をたどると母は悲しい顔をする。
私の昔話を父にすれば責任を問われている様に聞こえるだろう。
私の幼い頃は、
――元気のいい、男の子みたいな女の子――
単純にそんな子だった。
少なくとも小さかった私のことを知っている人たちは、口をそろえてそう答えるだろう。
そして、私は充分幸せである。
幸せがどんなものだか勝手だが、今は充分幸せだと言える。