うのたろう
構成力があり、文章力もある良作だ
物語は上質なホラー映画を見ているよう。
それも日本国原産のとびきりこわいホラー映画だ。
物語はピアノコンクールの採点のシーンからはじまる。
そこで優勝した女性と、一票差で負けた女性。
数日後。採点者であった主人公・柚那のもとに一枚のフロッピーディスクが届く。
「採点をやりなおしてください」という内容の、差出人不明の脅迫文だ。
はじめそのフロッピーを無視していた柚那であったが、二枚目のディスクが届き事態は変わる。
そこには柚那を盗撮した一枚の写真がおさめられていたからだ。
フロッピーディスクはそれからも柚那のもとに次々届き……
物語は展開し、犯人探しをする柚那が最後にたどりついたのは?
最後の最後で柚那が自分の部屋にもどってきたあとのシーンは、まさしくホラー映画のクライマックス。
迫力があった。
個人的な感想では、フロッピーディスクという題材がとてもよかった。
どこにでもあるが、最近あまり見かけないうえ、生きていくうえで避けてもとおれる。
そんなものを題材につかうことで、想像がかきたてられ、読者の恐怖は倍増する。
おすすめだ。