栗栖ひよ子
クリスマスに起こるささやかな奇跡
5人もの登場人物の視点で書かれているのに、とても読みやすく、また、視点が切り替わるタイミングも絶妙なので、ページを進める指が止まりませんでした。
登場人物が多いのに、読者を混乱せず、作品に入り込ませられるのは、キャラクター造形が素晴らしいから!
「雑貨」「レギンス」というあだ名も分かりやすかったし、それぞれのキャラクターが本当に立っています。
これだけの多種多様なキャラクターを書き分けられるなんて、さすが!!と思ってしまいました。
クリスマスに起こった、ささやかな偶然。それはそれぞれの人生をちょっと前向きにしてくれて……、「ささやかな奇跡」と呼ぶに相応しいと思います。
実際に、私たちは毎日たくさんの人と出逢い、すれ違っています。
もしかしたら、こんな素敵な物語も、実際に起こるかもしれない。
たくさんの人に出逢う毎日を、当たり前と思わずに、その出逢いに感謝することが出来れば……。
そんな風に思うことが出来ました。
冒頭の、「クリスマスソングが、明日からは普通の曲に変わるんだろう」という様な描写にかなり引き込まれました。