この世界は、人と人ならざる異形が共存して生きている。
異形の彼らは人の中から共存者を選ぶ。
それを、人は〝覚醒〟と呼ぶ。
覚醒するとき、異形の彼らは対価を貰う。
それは形あるものだったり、当てはめられないものだったりするけれど。
色は、その古典的な例だった。
両親を知らず祖母に育てられた一人の少年の日常は、他人にとって非常識なものだった。
けれど、確かにそれが少年の日常で。
その日常が壊れたのは
たったひとり、少年が親友と認める友人の
突然の覚醒からだった。
どうして、皆はあの世界を知らないの?
小さな頃の問いの答えは、まだ
誰も教えてくれなかった。