Miya
機械的小説
テーマとしては
「無根拠な自信と、絶対的な苦悩の不在」ということになるでしょうか。
言い換えれば
「無根拠な自信は、あらゆる苦悩を消滅させる」ということ。
主人公には「試み」や「企み」はあっても、「感情」はない。
まるで次々と世の中へ現れる新機能を搭載した電化製品のように、彼女は自らを(あるいは自らの物語を)更新していきます。
そのさまは痛快でもありつつ、ライトノベル的ギャグの軽快さを<虚無>的に感じさせてしまう危険をはらんでいます。ギャグには「感情」が必要なのですね。
(仮に<虚無>を狙ってやっているとして、序盤のそれらに意味は見出しづらい)
あとは、途中、視点の移動があるにも関わらず、それらが物語の転換点を担っていないこと(せいぜい、二つの視点の意識のズレを指摘する程度)は少し勿体無い。
「他者」に対して主人公が抱えている、一種の希薄さを裏付ける、ラストのシュールさが秀逸。