神水紋奈
罪の果てに
金色の世界に、確かに存在する町――息づくような金色の獣。
作者様に見えている世界は、とても美しかった。
その光景が、確かに目に浮かんできた。
美しい世界、それでいて触れたら消えてしまいそうな儚げな世界。
それこそ、夢の中のような――。
これは、毎晩見る夢に悩まされている少年の物語。
夢でつながれた、月の裏側の世界の物語。
かつて、初代の王が罪を犯していなかったら、物語はここまで複雑に、悲しいものにはならなかったのではないでしょうか。
アズが「罪」を犯すことも、ルーンが「罪」を犯すこともなかった。
そう思わずにはいられませんでした。
私は、こんなにも美しい情景を今まで小説で見たことがありません。
情景の描写をしているだけなのに、そこに、作者様の中に確かに息づく世界を感じて、不覚にも涙がこぼれました。
素晴らしい物語を、ありがとうございました。