7.後退のようにも思える、一歩

作者苺からす

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  志保とその取り巻きが、私の二つ前

 の席、転校生の田中れいなを机ごと囲

 んでいる。どうにか言ったらどうなの

 よ、臭いんだよ、聞こえねーよ、お前

 の存在意義そのものがわかんない、ど

 っか行けよ、きもい、チビ、なんかム

 カつくから謝れ、死んでくれない?田

 中れいなはじっと俯いている。後ろか

 らでは、それ以外は読み取れない。


 「くだらな」


 私がそう呟くと、志保は怯えたように

 肩を震わせ、口ごもる。そのまま動か

 ない。始業のチャイムが鳴り、救われ

 た顔をしつつも舌を打ち、田中れいな

 の机を苛立たしげに蹴り上げると、自

 分の席についた。