『稲成り』の店主――一陽さんは『心を満たす食事』を作り続ける。
人が、今日も元気にすごせるように。明日も、楽しい一日であるように。
途切れることのない人の営みを、『美味しい』という『幸せ』で彩るために。
榊木凛は食というものにまったく感心がなく、安くお腹を満たせればいいという考えだったが、とあることがきっかけで、『稲成り』でアルバイトをはじめることになり、それから考えが変わっていった。
食こそが、人の身体を、その営みを、そして幸せを作るのだ。
店主の一陽は、実は神さま。『稲荷(いなり)大明神(だいみょうじん)』であり、『宇迦之(うかの)御魂(みたま)神(のかみ)』であらせられる。食や穀物を司る神さま自ら米を炊き、おばんざいを作る。食とは何かを人々に知らしめるために。
神の奇跡ではなく、手ずから作った心のこもった料理と言葉で、人々の心を――身体を癒す。
そんな美味しい料理を求めて、京都の伝統的な町家『稲成り』に今日も人々がやってくる。
じんわり、ほっこり、心が温まる美味しい物語――。
料理
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