あなたと出会ってから、わたしはわたしではなくなった。
こんな自分、知らない。
正気のわたしが戻る前に。
どこか遠くへ連れ去って。
あなたの持つその力で。
水沢夏海、23才。
むかしから人見知りで男の人が苦手な夏海は、23年間、一度も恋愛経験がない。
ある夏、地元である北海道の函館から、高校時代からの友人・恵理が住む東京へ遊びに行くことになる。東京に向かう機内で、小学生のときの担任、白河先生と再会する。2人は、東京でもう一度会う約束をする。
その後、東京で知り合った3才年上の広瀬和真に、恋におちる。
しかし、夏海は本能的に、和真に近付くことを恐れる。それに気付いた恵理の計らいで、共通の趣味であるジョギングとランニングを通じて、会う回数を重ねていく2人。しかし夏海は、自分の気持ちを決して伝えようとはせずに…。函館に帰る日は、刻一刻と迫っていく。夏海は。和真は。どんな決断を下すのか-。