春の風が吹く爽やかな朝。花は洗面台の前で新しい口紅にご満悦だった。一目惚れして買った口紅は鮮やかに唇を彩り、今日のデートにちょうどいい。花は高鳴る気持ちのまま同棲している彼氏の夏輝に声をかけた。だが、彼からの返答はない。花がリビングへ行くと夏輝はソファで寝息を立てていた。花は夏輝の寝顔を見て、再会した夜のことを思い出す。偶然訪れたバーで、花はバーテンダーが幼馴染の夏輝だと気が付かなかった。意地悪な彼は幼馴染に初対面の対応をする花の様子を楽しんでいたのだ。運命的な出会いから恋人になったこと、夏輝への愛おしさから花は普段は気恥ずかしさから言えない愛の言葉を口にする。すると寝ていたと思っていた夏輝がそれに答え、花は恥ずかしさに居た堪れなくなる。恥ずかしいなら練習すればいいと言う夏輝は、花にもっと好きだと言って欲しいと迫る。そうして夏輝に促されるまま、愛の言葉を交わし合った二人は唇を重ねる。甘美な雰囲気のなか、意地悪な自分は嫌いかと問う夏輝に、花は意地悪だと言いながらも好きだという気持ちを夏輝に告げるのだった。