読書日記 蜜虫様の貴著『あの日マリーゴールドを【完】』
ほっとするような ひと時が流れてくる
あの日のマリーゴールドから始まった恋は、あったかくて、優しかった
9月6日
マリーゴールドの花言葉は ”悲しみ”
光君も葉月も、自分一人では背負いきれないくらいの苦しい過去があって。けれど、マリーゴールドの明るい色がそういうもの全てを溶かしてくれている気がした。負った傷の痛みはずっと消えることはないけれど、癒してくれる温かい存在。あの一本のマリーゴールドとマリーゴールドの花束がまるで、彼らが互いに支え合って歩んでいる……そんな象徴のように思えてなりませんでした。
ページを捲れば、ゆったりとした時の流れに誘われ、気づけば彼らと過ごす時間を心待ちにしている自分がいました。甘いお菓子も、彼らの苦い重荷とのコントラストになっている気がして、その綺麗な描写が脳裏に浮かびあがり、思わず幸せな溜息が私の口から零れ落ちる。
言葉を紡ぎ出さない光君。終盤で明かされる、彼の壮絶な過去には衝撃を受けた。真実の欠片が集まった時、全てが繋がるのも面白くて。時間を忘れて読みふけっている、なんてこともしばしば。また、私にとっても彼らの無言の会話は非常に心地が良くて、光君の表情の描写なんかは特に、なんて繊細な言葉たちで溢れているのだろう、と息を飲み、心揺さぶられました。
本作品を読み終えてしまった今、彼らに会えなくなるのを寂しく思っています。たまには寄り道をしてみようかな、とか、花言葉に触れてみようかな、とかとか。小さな夢が膨らみました。
素敵な作品をありがとうございました
10月3日
「おまけ2/ダリア」拝読しました.゜
光君の、幼さが残った可愛らしさと葉月を大切にする大人っぽさのギャップが堪らなく好きです。少しずつ、二人の歩幅で寄り添って、これからも成長していくのかな、とか色々と想像を膨らませていると、頬が自然に緩んで仕方がありませんでした。もう、幸せ。この一言に尽きます。温かくて優しい二人の雰囲気に今回も和ませて頂きました。でも、二人の人生が深く感じるのは、二人が幸せそうで良かったと心から思えるのは、痛くて辛い過去を乗り越えてきた彼らの真っすぐな姿勢を母親のように見守ってきたからだと思っています。
本当に、この作品の独特なゆっくりとした時の流れが大好きです。まるで木々のせせらぎを聴いているような、柔らかな陽ざしに溶け込んでいきそうな、そんな憩いの場がここにはあります。二人は私の憧れであると同時に、癒しです。大好きな作品にまた番外編を追加されていると知り、わくわくして。読了後の今も、胸が高鳴っています。素敵な時間をありがとうございました
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