「オブ・ザ・ベースボール」の4章までを模写して思ったこと
円城塔さんの処女作を模写しだしているのですが、冒頭がすでに面白い。円城さんは、バタ臭い、というのか、どことなくアメリカンな話を書くので、自分とそこは親和性が深いと思います。私も、日本を舞台にするのは何となく苦手でした。この作品では、退屈で異常な「町」が際立っているので、冒頭も「町」の異常さを際立てたのだと思います。
2では、話題は主人公の自己紹介が最低限と、この異常な「町」に配属されている、やっぱり異常な「レスキュー・チーム」の話だ。主人公の心の動きや心理描写などはなくて、淡々としている。
3では、学者が「町」には訪れるという話だが、その学者の羅列が、書き写していて疲れるほど執拗に描かれている。そういうところが、読むときは落語じみていて面白いし、書き写していて作者の得意さが伝わって来るような気がする。学者は短い間に人が落下してこないので「ファウルズ」の町に人は落ちて(ファウルして)ないと結論付けるらしいが、その説の検証の仕方が理系だ。
4では、ひたすらにこの「町」とは違う土地の説明がされているという、奇妙な状態。延々と述べるのは、かさましであり、論理の優雅な散歩、若しくは、ちょっとした飛躍。こうやって枝葉を伸ばしたほうが、回りくどくてもわかりやすいこともあるのだなと思う。
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コメント
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- 白澤木兎
>魚さん
そうなのですね!アニメ映画?は見たことがあって、小説は積み本の中に入っているので、早めに読んでみたいと思います。
魚さんの刺青とかもすごく興味深く読ませていただきました!純文学系の小説書けない人なので、すごいな……と思ってます。
そのコメントだけでとても嬉しいです……私の話、正直大分長いので、思い出した時にでもなんとなく読んでいただければありがたいです…… - 裏 鬼十郎
屍者の帝国はすごく面白いですよ!
心温まるコメありがとうございます。
なかなか、ぬくさんの話は「気合い入れて読みたい」と思ってるので触れられない日が多いですが、たまにちまちま読ませていただいてます。 - 白澤木兎
円城塔さん、屍者の帝国を完結させた人っていうことで気になっていたのですが、この記事読んで本読んでみたいなとなりました。修正したお話の方も待ってますー!
(昨日はコメント返信ありがとうございました!)