ここは冥府の死神科。
死神とは生前にかなりの悪いことをして死んだ者が、下界の人間の寿命リストを見て魂を刈り取り続ける仕事を課された者達のこと。
本来寿命を迎えた人間をあの世に送るのは天使の仕事なのだが、ストレスや陰謀渦巻く現代では死後に天使になれるような純粋な魂を持った者が少ないらしい。要は天使の人手不足を補うために用意された雑用集団である。
天使も死神も仕事は一緒かと思われるかもしれないが、明確な違いがある。
死神は人間の魂を定期的に摂取しないと消滅してしまう。そのため、仕事をサボる事ができないのだ…。そして死神に刈り取られた人間の魂はその場で死神に喰われ、天国に行くことも出来ない。基本的には凶悪犯だったり悪いヤツが優先的に死神リストに載る。
一方の天使は魂をあの世に送らなくとも消滅したりしない。ちなみに天使があの世に送った魂がどうなるかは様々で、その人間に合った仕事が与えられたりする。もし悪いヤツがあの世に送られた場合は生前犯した罪の分の仕事をすれば強制労働は終了だ。
天使の仕事はサボってもお咎めはなしだが、サボればサボる程死神によって魂が消滅してしまうため、良心的で純粋な魂を持った天使達はきちんと仕事をこなしている。
魂を狩る事に快楽を感じている死神や、天使のリストに載っている人間の魂を横取りする死神もいる為、死神と天使の仲は悪い。
ーーー死神研修を終えたばかりの新米死神少女てては、寿命リストに載っている人間を探すために冥府から下界を写す鏡を覗いていた。
そこに天使の姿が写り、目をとめる。研修で話は聞いていたが、天使を見るのは初めてだった。どんな風に魂をあの世に送るのかワクワクして見ていたが、天使が取り出したのは死神の鎌。天使が鎌を振りかざした瞬間、ててが間に止めに入る。
天使の名前はみゅう。ベテランのエリート天使で、鎌を振って消滅させようとした人間は連続殺人犯であった。みゅうは殺人を犯したやつを許すことは出来ないといい、罪を償わせ赦しを与えるくらいならこの場で自分が処分するというのだ。(鎌は仕事をサボりすぎて消滅寸前の死神から奪った)
みゅうのただならぬ雰囲気と苦しそうな顔を見て、ててはみゅうの代わりに自分が天使の寿命リストに載っている悪いヤツの魂を刈ることを申し出る。
てての考えた作戦はみゅうが魂をあの世に送ろうとしていたところに、ててが乱入して魂を奪ったことにしようというもの。そして死神と天使による悪党狩りが始まった。