都季のエプロン姿は何度見ても興奮する
巷で蔓延している疫病が原因で「自粛」「自粛」「自粛」と一生分の「自粛」を聴く毎日。
流石に「自粛」という言葉にはいい加減飽き飽きしてきたし、そんなに言われなくたって僕の可愛い可愛い可愛い可愛い都季に疫病が感染したら耐えられないから絶対に家から出るつもりなんてないよ。
「クラスターを作るのは危険だから暫くは会わねぇぞ。」
珍しく、そんな素敵な提案をしてくれた水瀬のおかげで、なんと僕は念願の毎日四六時中、都季と二人きりという素晴らしい時間を手に入れたの。
「やだやだ。」
「都季に会いたい。」
拗ねる紗も帝雅も可愛かったけれど、正直なところ心の中でガッツポーズしたよ。だって嬉しいんだもの、都季と二人きりだなんて夢みたい。
とりあえず二週間は会わない事になったけれど、食生活の面で懸念のある紗と帝雅はちゃんと水瀬ママが引き取ってくれたから安心してね。
「はぁ…都季、今日も可愛いね。」
「世凛、そんなに私を見て疲れない?」
もうほとんど、というより99.9%夫婦と言っても過言じゃない僕達だけれど、こんな風に水入らずで長い時間を一緒に過ごすのは初めて。
都季の前では少しでも格好良くしていたいけれど、ポニーテールに髪を結って僕が選んだエプロンを着て、僕の為にお料理をしてくれる都季の「奥さん感」が尋常じゃなくて、ついついだらしなくニヤけてしまう。
ねぇ、どうしてそんなに可愛いの?
ねぇ、何度僕の心を奪うつもり?
今日も僕は、都季を世界で一番愛しているよ。
「疲れる訳ないじゃない。寧ろ幸せで死んじゃいそう。」
はぁ…このまま、永遠に都季と二人きりでこの空間に留まっていたい。
これからの僕の人生全てを懸けても、都季に向けて溢れる愛おしさは止まらないと想うの。
「愛してる」以上の言葉が存在すれば良いのに。切実に、そんな無謀な事を願ってみたりする僕がいる。
カウンターに頬杖を突いて、女神にしか見えない都季を愛でていると彼女が頬を膨らませた。
「…駄目。」
「え?」
調理していた手を止めて、突然僕の腕に抱き着く相手に心臓のBPMが190になったぞ(※君はロックを聴かないより抜粋)
「死んじゃ駄目。私より先に世凛が死ぬなんて駄目。」
はい可愛い。
最高に可愛い。
もう殺しにかかってるよね?そうだよね?
都季の背中に純白の羽が生えているように見える。
そのまま寝室へ連行したい欲求を必死に堪えた。
「ふふっ、大丈夫だよ、死なないから。」
膨らんだ彼女の頬をそっと指先で撫でて、微笑を湛える僕に「本当?」と首を傾げて再度問う相手。
口角をニヒルに吊り上げた僕は、都季の甘い唇に噛みついた。
「勿論。死ぬ時は都季も一緒に道連れにするもの。」
キッチンに溶けたのは、重い重い愛の言葉。
「約束だからね。」
躊躇なくそう答えて優美に顔を綻ばせた都季に、僕は恍惚と目を細めた。
僕の都季は、今日も今日とて、世界で一番いじらしい。
Written by秋風世凛(-666-)
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