※第二回ブログで感謝企画①💞の続きになります。
⭐️下記より、メインストーリーの続きを再開致します↓↓↓↓↓⭐️
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――見渡せば、青空を背景に、切り立った峡谷の絶景…――
峡谷の間を風が吹き抜け、木々がざわめく――
そこは、鷹たちの飛び交う、青空の峡谷――
――平石を除いた参加者たちは、大鷹のアジトが見渡せる崖の上で落ち合った。
裏社会だが温厚なアザミ、礼儀も弁えた大人しい夕、常識のある表社会の狩内、穏やかな性格のベガと……――ここに集まった三人と一匹は、『あっ、どうもこんにちは~』『よろしくお願いします』『いえ、こちらこそ』『わん。…』と言ったように、ギスギスすることもなく穏やかに挨拶を終えた。
薊「すごい絶景ですね~。不覚にも、敵地に心を奪われました」
夕「……絶景を前に、ベガも喜んでいるみたいだ。しっぽを振っている」
――するとサッと、狩内がスマートフォンを取り出す。
狩「――職場の若い子に勧められ、一年程前から、私もインスタ◯ラムを始めたんですよ」
夕「良いじゃないですか。オレもこっそりやってますよ。――誰にも言ってません」
薊「――オレもこっそりやってますよ。裏社会なので、自分とか友人の写真はあげられないんですけどねぇ。風景とか」
――写真にベガを入れつつ、絶景の写真を撮り始める三人である。
『あっ…!狩内さん、大鷹のアジト撮さないように。自宅に怖い人たち来ちゃいますから!』『あっそうか!気を付けるな』『ハッシュタグ、〝大鷹アジト〟とかも無しで!』などと言い細心の注意を払いながら、写真を撮っている三人であった。
夕は『ベガ、お前と絶景が良く撮れてる。この写真、お前の飼い主さんにも渡すからな』と言いながら、ベガに写真を見せている。
言われている事を、なんとなく理解しているのか、ベガも嬉しそうだ。
――今のところ、〝旅番組か〟と思うほど平和である。
――そして三人と一匹は、ついに大鷹のアジトへとやって来た。
薊「こんにちは~。今回は感謝企画なので、仲良くして下さいね~」
『お邪魔します』と、敵地のアジトの正面入り口の扉を開いた。
「「「………………」」」
扉を開くと、そこにはズラッと、怖い顔をしたお兄さんたちが並んでいる。
『……。一度閉める??』と、三人で話し始める。『……どうしようなぁ?』と言いながら、再び鷹のお兄さんたちの方を眺める。すると、お兄さんたちが口を開く。
「よく来たな。――テメーらをもてなせって言われてんだよ!ボスからなぁ!」
『……。もてなすって??ボッコボコにするって意味??』『……―いや、ストレートな意味である可能性も……』とやはり三人は話している。
――するとその時、アジトの奥から足音が響いてくる………
三人と一匹は、顔を上げ足音の方を見た。――すると不敵な笑みを浮かべながら、奥から平石が歩いて来た。
『なんちゅう顔で笑ってやがる……アイツ、感謝企画の意味理解してねぇんじゃねぇの??』と、やはり〝もてなせ〟の意味は、ボッコボコにしろと言う意味なのだろうか?…――
平「良く来たな。――これからお前たちをもてなす……!!」
薊「平石、もてなすとは?あのな、この企画は……――」
平「黙れ血の花野郎!!」
薊「………―――どうしよう…この人、企画理解してなさそうだ……」
平「――……生きてオレのところまで、たどり着けるかなぁ?――」
三人は〝えぇ~?!〟と言った思いである。
――そして平石は、まさに〝悪役〟と言ったような高笑いをしながら、去っていくのだった。
〝誰かアイツを、どうにかしてくれ……!〟と、困り果てている三人である。ベガもすっかりしっぽを下げてしまった。
鷹のお兄さんたちは、『さっさとやっちまうか?』と話している。――コイツら、やはりやる気である。だが、お兄さんたちは言った。
「――その前に、ワンちゃんはこちらへ!」
「ボクら、動物は争いに巻き込みません!」
薊夕狩「っ?!……」
――〝思ったよりも良い奴らー?!〟――
――こうして三人は、敵に囲まれてしまった。
〝ちっ!〟と舌を打ち、敵を見据える――…すると奥で、違う鷹のお兄さんたちが、滅茶苦茶ベガを可愛がっている光景がチラッと見えた。それを目撃した夕が、何気にフッと笑っている。
夕「……囲まれたか……」
薊「――大丈夫だ。オレらには医者がいる!」
狩「……一緒にボコボコにされては、私にも何も出来ないのだが……」
夕薊「「…………」」
薊「……――ブログって、夢の国だろう?狩内さんの事、ゲームの回復能力キャラみたいな感じに出来ねぇの??……」
夕「〝狩内さんが手をかざすだけで怪我が治る〟、とかいう設定がほしい」
狩「無理だよね?……現実を見よう……」
薊夕「「はい……」」
〝クッソ平石の野郎!!――もう、やるしかねぇ!〟と、覚悟を決めた。
――だがその時……――
「ちょっと待て!!待て皆ぁ!!」
そう言い、三人を囲んだ仲間たちを掻き分けながら、猫柳がやって来た。猫柳は仲間たちに言った。
猫「待て皆!『もてなせ』って、やっぱり違う意味の方かもしれねぇ……!!」
「……――何だと?だがオレたちは確かに今朝、ボスに『ボコボコにしろ』と命令を受けた!」
猫「えっ?!でも何だか、〝可笑しい〟と思ったアニキが、信代さんに電話したらッ……――!!」
〝敵さんたちも、大混乱じゃねぇか……〟と思いながら、大混乱中の大鷹を眺める三人である。
『だがボスが!』と男たちは猫柳に話している。
――すると今度は、スマートフォンを片手に犬榧がやって来た。
「っ!!犬榧さん、どう言うことスか?!」
犬「――違ぇよ。これ感謝企画だから。〝もてなす〟ってストレートな意味」
「?!ですが、ボスはっ……!」
犬「ペルーの信代さんに電話したらさ、『それ違ぇわな。輝明のバカの勘違いだな』って……」
「えぇ~?!」
犬「――『輝明は勘違いしているようだから、お前らは上手くやれば良いのさ。テキトーに、従ってるフリをしていれば構わねぇ……――そんな事よりお前ら、ペルー土産は何がいい?…――』と、信代さんが」
「えぇ~?!」
〝出た…!社会で希にある、2人の上司から違う指示を出されて、スッゲェ困るパターンのヤツだぁ!!〟――と、そんな事を思いながら、バタバタとしている鷹のお兄さんたちを眺める3人である。
――『……そうか……まぁ犬榧さんが言うならぁ』と、この場は落ち着く。――落ち着く、かと思われたのだが……――
「待て犬榧、お前ボスの言っている事、信じないのか?」
犬「っ?!豊ちゃ~ん!!」
今度は豊がやって来て、そう言っている。
豊「……ボスの命令は、絶対だ」
犬「っ?!豊ちゃん……今回ばっかしは……――ボスだって間違う事はある……」
豊「確かに信代さんはそう言った。けど、信代さんはナツバーツー。
―――お前たち、コイツらをやれ。それがボスの命令」
「っ?!」
犬「あっ!豊ちゃん?!―――お前たち、ダメだ!!ボスだって間違うんだ!!」
「っ?!」
〝2人の上司からそれぞれ違う指示を出されて、スッゲェ困るパターンのヤツが、更に連鎖したパターンのヤツだぁ!!〟――と、部下たちを気の毒に思う三人である。
――そして三人は、『今のうちに、行きましょうか』『取り敢えず、平石のところへ行こう。アイツを感謝企画に参加させないと』と話しながら、大鷹がバタバタとしているうちに、そそくさと去る。
夕「ベガ、行こう」
しっぽを振りながら、ベガも三人の元へと戻ってきた。
――依然、豊と犬榧は『豊ちゃんダメだ!』『犬榧、見損なった』『っそんなぁ?!』と話し合いをしている。
薊「……平石のヤツ、どこにいるんだろうな?」
猫「あっ!西の棟ッス!五階五階!!」
薊「っ?!……あっありがとう……」
夕「………。普通に教えてくれる……」
『あっちあっち!……――ずっと真っ直ぐに行って、突き当たりにある扉抜けて、一度外に出ると早いかもしれねぇ!そして西側の棟へ!』と、猫柳が普通に教えてくれるのだった。
――三人は西の棟の五階を目指す。――途中お兄さんたちに出くわす度に、『〝輝明は勘違いしているようだから、お前らは上手くやれば良いのさ。テキトーに、従ってるフリをしていれば構わねぇ……――そんな事よりお前ら、ペルー土産は何がいい?…――と、信代さんが〟』と話すのだった。――そして後半は、その話を最早呪文のように復唱しながら進むのだった。
薊「――大鷹の連中に、良く効く呪文だな!」
狩「あぁ。誰も襲ってこないな」
夕「『ペルー土産は何がいい?』の辺りで皆、〝それは確かに信代さんの言葉だ〟と、そうなるらしいぞ」
――そして三人と一匹は、良く効く呪文を唱え続けながら、ついに西の棟の五階へとやって来た。
3人「っ?!」
〝これは最後の難関か?!〟と、三人は生唾を飲み込んだ。
――平石の部屋だと思われる部屋の前に、木倉がいる。
果たして例の呪文は、木倉にも効くのだろうか?〝さっそく試してみよう!〟と、三人。
3人「〝輝明は勘違いしているようだから、お前らは上手くやれば良いのさ。テキトーに、従ってるフリをしていれば構わねぇ……――そんな事よりお前ら、ペルー土産は何がいい?…――と、信代さんが〟」
木「……あ?…――」
薊「〝信代さんが言っている〟、と、犬榧も言っている」
木「……――あぁ。そうだな……」
〝木倉にも効いているぞ!!すごい呪文だぁ!!〟と、三人は顔を見合わせている。
――すると木倉が声を潜め、『実はウチのボス、企画の意味、分かってねぇんだ…』と。
どうやら、木倉も困っているようだ。
木「『ここ通すな見張ってろ』とか言われててよ。オレも困ってんだ……」
薊「お前も大変だな……――正直大鷹って、ボスが一番問題児だよな……
――あっそうだ。リナリアが『木ぃ倉ぁ』って言ってたぞ」
木「………は?だから?オレは『はい』って返事をすれば良いのか?」
薊「うぅん……なんか本当にすみません……」
――さておき、やはり平石は企画の意味を理解していないようだ。そして木倉に『通すな』と言っているらしい。
〝さぁ、どうする?〟と、三人は考え込む。――そして取り敢えず最初に思い付く事は、三人とも一緒であった。三人は申し訳なさそうな顔をしつつ、声を潜めながら話す。
狩「とても言いずらいのだが……」
夕「……。企画の遂行の為に……――」
誤魔化し笑いをし、目を合わせないように、良く分からない方向を眺めながら、木倉に言ってみる…――
薊「『通すな』って言われてるって……――企画だから〝通す〟しかないんだからよ……あの、その……――木倉がオレらにぃ…負けた事になればぁ良いんじゃねぇの…かなぁ…??……」
――するとサッと、木倉から表情が消え失せる。
三人は必死に誤魔化し笑いを続けている。ベガも〝お願い〟と言うような瞳をしながら、じっと木倉を見上げている。
――居心地の悪い沈黙が流れ続ける。
木倉は依然真顔になったまま、じっと三人を見ている…――その無言真顔がとても恐ろしい。
今ここに豊がいたのなら、豊は木倉に言っただろう。『お前こそ能面だ』と。
木「えっ?……オレに…〝プライド捨てろ〟って、言ってるのか……??……」
3人「〝何か本当にすみません〟……」
〝何か本当にすみません〟とは、最早木倉について回る言葉である。
……すると『ドイツもコイツもそればっかしだっ…!』と、ついに木倉がキレた。だが…――
木「“通れよ”…クソッ……!」
『怒らねぇよ。〝大人だから〟!』と木倉は言っている。〝いや怒ってる、完全に怒ってる?!〟と三人は思っている。だがここは……――
薊「よし、行こう」
夕「木倉、何か本当に……――」
狩「駄目だよ上柳くん。〝その言葉〟は今は地雷だ」
夕「……――そうですね」
〝大人な〟木倉の言葉に甘え、ここは通るしかない。――こうして三人と一匹は、バン!と扉を開き、部屋の中へ。
扉が開かれた音を聞き、部屋にいた平石が振り返った。
〝たどり着けはしない〟と思っていたのだろう。平石は目を見張っている。
平石の肩に乗っている出雲も、不思議そうに首を傾げていた。
平「どういう事だ?木倉はどうした?犬榧は豊は、猫柳は……――」
――〝ここはテキトーに、言っておこう〟――
薊「〝賭けで負けた方が一時間逆立ち〟とな――現在犬榧逆立ち中……」
夕「豊はタイマー持ちながら、犬榧の前で正座中……」
狩「『あんな賭けをするから』と、猫柳は逆立ちの犬榧に説教中……」
薊「木倉は犬榧眺めながら、『アホすぎる……』と放心中……」
平「っ?!アイツら、またそんな事をして……!!ガキの頃から変わらねぇ……!!」
〝平石普通に信じてる?!〟
――それはボスが見抜けない程に、現実とそう変わらない、見事な作り話であった……
夕「諦めろ平石。お前の部下たちはいろんな理由で戦闘不能だ。
――本当は分かっているんじゃないのか?〝これは感謝企画〟だと……」
『これは感謝企画だと』……――すると平石が、あからさまにギクッとしている。
狩「図星だったかな?…――何故こんな事をしたんだ?」
平「……――下らねぇ。ランダムキャラ選抜だと?オレは馴れ合ったりしねぇーぞ!」
薊「――でたな。それが理由だな」
平「……――〝ここまで来れるかなぁ?〟で時間稼ぎをし、部下たちにお前らの相手をさせ……――そうしてオレが、ここで何をしていたと思う?……」
言って平石が、冷めた目をしながらフッと笑う。
3人「っ?!……――」
〝コイツ、一体何を?!まさか……良からぬ事を企んでいたのでは……?!〟
三人に緊張が走る……―――だが次の瞬間、依然冷めた目をしつつ、先程の木倉並みに能面になりながら、平石は言った。
平「………〝普通に仕事だ〟アホ。言わせんじゃねぇよ。酷い奴らが」
3人「っ?!」
〝その冷めた目が、虚しさを物語る目に見えてきたぁ~!!〟
夕「そっちが……本当の理由だな……」
薊「っ?!……――本当の理由をなぜ部下たちに言わなかった?!皆大混乱だったぞ?!」
平「何だと?…――賭けで負けて幹部が逆立ち始めたら、そりゃ大混乱だろう…!」
3人「……―――」
〝誤解だよ平石っ!!何かゴメンな犬榧くんっ……!!〟
――〝あぁ言えばこう言う〟と、四人の討論は終わらない。
ベガは人間たちを眺めながら、床に顎とお腹をつけている。
出雲はそんなベガの事を、主人の肩に止まりながら眺めていた。――出雲はゆっくりと、床へと下り立った。
『出雲?』と平石が振り返る。アザミ、狩内、夕も出雲を眺める…――
出雲はじっとベガを眺めている。そしてベガも。
カノープスとは喧嘩をしていた出雲だが、大人しく穏やかなベガに対しては、敵対心が無いようだ。
――すると、じっと出雲を眺めているベガが、ゆっくりとしっぽを振り始めた。
出雲も床の上をトッと跳ねて、ベガへと歩み寄った。
歩み寄って来た出雲へと、ベガも身を寄せる――
4人「っ!!」
四人はハッとして、思わずバッと口を押さえた。
――〝何だこの極上の癒しはっ?!可愛すぎる……!!〟――
人間たちがこちらをじっと見ていると、ベガと出雲も人間たちへと目を向けた。
〝もうそのくらいにしてよ。感謝企画でしょう?〟と、ベガはその綺麗な瞳で人間たちに投げ掛けている。そして出雲も、ベガと同じ気持ちのようだ。
狩「動物の方が大人みたいだな」
夕「……そろそろ、感謝企画の本題へと戻りたいんだが」
薊「平石、出雲を見習え」
平「……――なら仕方ない。言っておくが、お前らに従う訳ではない。出雲が言っているからだ」
夕「……――ならしっかりと、皆で感謝を伝えよう」
『そうだな』と狩内とアザミ。『仕方ない』と平石。ベガと出雲も嬉しそうだ。
『いつも本当に、ありがとうございます』『わん!!』
――こうして何とか、大鷹のアジトを舞台とした感謝企画は幕を閉じたのだった……――
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【インスタ○ラム】
〝青空を鷹が飛ぶ峡谷の絶景です!〟
【コメント】
素晴らしい絶景ですね!!是非行ってみたい!!ここはどちらですか?!
【返信】
コメントありがとうございます!**町の…――***……――!!
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――あれから約一週間。大鷹のアジトでは…
西の棟の屋上には、出雲を肩に乗せた平石と、木倉、犬榧、豊、猫柳の姿。五人の手には、双眼鏡…―
平「何だか最近、観光客みたいな奴ら来てるんだよな…」
〝何でだろう〟と言いながら、双眼鏡で崖の上の観光客たちを、能面になりながら眺めている五人である。
――するとその時、屋上の扉が開いた。
信「よう、お前らぁ。輝明、誠也、功信、豊、麗!!――お前ら全員、元気してたか?――ほれ、ペルー土産だぜぇ?…――」
信代が小脇に巨大アルパカ人形を抱えながら、ペルーから帰ってきた。
『おい、あれを見ろ』と言い、平石が信代へと双眼鏡を手渡す…――
――〝眺めた先には、何故か観光客〟。
信「………――」
――サッと信代からも表情が消えていき、能面へと変わっていったのだった。
―――――【★END★🐦️】――――――
今回想像以上に長くなり、①、②となってしまいましたが…――第二回、ブログで感謝企画でした!!✴️
感謝企画進行、フルーツロール🍓、瑠璃🌈、聖🍶、雪哉❄️、陽介☀️、純⭐️。
感謝企画出演、狩内👔、アザミ🐲、平石🐦️、夕🍀、ベガ🐶で、大鷹のアジト🐦️★から、大鷹のメンバー✌️⭐️と一緒にお送り致しました!!
ではまた、本編と第三回でお会い致しましょう!!ありがとうございました!!✴️
――2021/03/06,フルーツロール🍊――