（※自己満足の世界です。
非公開にした作品の番外編ですので、ファン登録者様専用となっております。
ご容赦願います。）


黒服さんの後に続いて行くと、そこにいたのは


「キョーヤさんの奥さん…」

「えっ？どこ？つうかキョーヤって結婚したの？ナギー！聞いてなーい！」

「はぁ？キョウヤは独身だよ。身重なんだから暴れんなっ、”アレ”に怒られんの私なんだからねっ！」

「そうそう、サナさんに何かあったら、私とナギちゃんのせいになるんだから、大人しくしましょうね」


３人とも種類の違う美人さん…だけど、なんか話やすそうな感じ。


「あっ、ハナちゃん座って、座って。何飲む？」

「あ、…失礼します」

「私は妊娠中で飲めないけど、ハナちゃんはガンガンいっちゃっていいからね？支払いは、この２人の旦那のカードだからっ」

「え、待って。アンナさんの旦那さんのカードだけじゃないの？」

「え？ここに来るって言ったらトモがカード使っていいって言ってたよ？」

「はぁ？私、聞いてなんですけどっ！」

「この際、間を取って、神代のでいいんじゃない？」


全然、入り込む隙がないって言うか、思ってた感じと全然違う。


「アンナちゃーん、それはムリ！ここに来てるのタクマに内緒だから」

「「はっ？」」


そんな３人の、やりとりに思わず笑ってしまった。


「だって妊婦だよ？お酒出す場所にタクマが送り出すと思う？ねー、ハナちゃんも、そう思うでしょ？」

「えっ」


タクマって人を知らないのに、いきなり振られても困ってしまう、けど振った本人はニコニコと私に笑顔を向けていて、その笑顔はキョーヤさんの待ち受けの写真と同じで、私は目を逸してしまった。


「あれ？サナちゃん？」「あ！ヨッシーっ」時々、接待で店を使ってくれる吉澤さんが声を掛けてきて、何故か彼女は親しげに会話を始めた。


この人、どこかでキャバしてた、とか？なんて思ってると「おや？大崎さんの」「ご無沙汰しております。篠田様、いつも主人がお世話になっております」こっちでも何やら挨拶が始まり、その相手は”雰囲気”だけを楽しみ来てる篠田様だった。


「これかー。」

「え？」

「今日はね、サナっぺが急遽、招集かけたのよ」

「はぁ」

「ハナちゃん。人ってさ、目に見えない所で色々あるんだよ？あの2人もそうだし、私もそう。ハナちゃんだって、あるでしょ？でも、いちいち他人に宣伝して歩く？しないよね？見た目だけで判断して欲しくないな。」

「あのっ」

「ごめん、ごめん。怒ってるワケじゃないんだよ？たださ、そういう薄っぺらい人間にキョウヤの近くにいられたく無いなって思うだけ」


怒られるより痛い言葉だった。・・・薄っぺらい人間。


「じゃヨッシーお願いねっ、約束だよー。私の可愛い友達よろしくね」「では篠田様、今後とも主人同様、可愛い妹分のハナの事もご指導頂ければ幸いです」


２人の会話の締めを聞いて、私は目を見開いた。何で…？ちゃんとした会話なんて、まだ殆どしてないのに。


「ハナちゃん、出過ぎたマネしてゴメンね？こないだヨッシーから、ちょっと噂聞いちゃってさ、これは助太刀せねば！なんてっ勝手に思っちゃったの」


サナさんって人から聞いた話は…夜の世界では良くある話らしい。キャストは同僚でありライバル、私は嫌われてるから絶好の的だったみたいだ。


あらぬ話を私の指名客に話す、指名客は聞いた話を半信半疑ながらも私から距離を置く。これは良くある話らしい。


「私達は、こういう仕事に就いた事が無いから、あまり戦力になれないけどさ、毒舌ナツコってのに対処法とか聞いたから、今度良かったら話でもしよ？」

「こういう仕事だけじゃ無いでしょ、ミオちゃんだって昼職ん時、結構な嫌がらせあったし、ミオちゃんも誘ったんだけどなぁ」

「アンナちゃん甘いっ！コーがミオちゃんを夜、家から出すわけないじゃん。それにミオちゃんは私達と違って旦那に強く言えない性格だからねぇ」

「でもさ、私達だけだとハナちゃんが萎縮しちゃうから、ミオちゃんの存在が重要だったのに」

「なんでっ…ですか？」

私が俯きながら声を絞りだすと、キョトンとした後に、笑顔で答えた。

「ん？それは、ハナちゃんがキョーヤの大事な子だからじゃん。私はね、昔いっぱいキョーヤに助けてもらったんだ、だから、そのお返しかなっ」


私が表面だけ見て貶した人は、凄く真っ直ぐで心の綺麗な人だった、そして一緒に来てくれた人達も…。


この出会いが、私が変われる最後のチャンスだと思い、３人の帰り際に私は頭を下げた。


そして、この日の営業終了後、キャスト、黒服さん、そして店長にも頭を下げ、今までの自分の行いを謝罪した。

第３部①へ続く