吉澤 憙津



作品倉庫⑦
とある法則

薄れていったのは記憶だけではなかった、痛みも憎しみも愛しさも歯がゆさも全て誰もが知らないところへと消えていった
冬を構成する寒さや冷たさなどが序々に春めいてゆく陽光にほぐされてゆく姿を僕は窓の欄干にもたれて黙って見ていた
そう君の嘘が暴かれて恥ずかしいそうに照れ笑いと更なる嘘という泥を塗るのが滑稽でそうして悲しくて寂しく見えた日
どんな所業があろう…