フツリアイな相合い傘【完】

作者月ヶ瀬 杏

幼少期の雨の日のトラウマから、雨が苦手な和紗。雨の日はなるべく人を避けて早く家に帰りたいのに、あるできごとをキッカケに同じクラスの佐尾が関わってくるようになった。 佐尾が声をかけてくるのは、決まって雨の日の放課後。 初めはそんな佐尾のことが苦手だったけれど、雨の日が来るごとに和紗の気持ちが少し…




彼と初めて話したのは、私の嫌いな雨の日だった。



***


「どうして、私にかまうの?」


「どうしてって、そんなの。俺のことちゃんと見てほしいからだよ」


***



雨の日は、嫌い。



だけど……


決まって雨の日に話しかけてくる彼を、


本気で嫌だと思ったことは一度もない。



2020/05/02-2020/06/11