史実+ファンタジー。冒頭のみ、一部小説化しています。

他は、舞台用脚本形式のため、情景、人物描写は登場人物、ト書きからご想像ください。

土佐言葉は出身者の監修のもと、執筆し、ネイティブ発音、言語において、演出上わかりやすい表現にしているところがあります。

慶応二年師走、土佐。

雪の山道をかける二人。追っ手に阻まれ、散りゆく二人。


あれから、百五十と四年


現代。

慶応二年のあの夜から、命を絶つことも、歳をとることさえ赦されない少女、三國(みくに)は喫茶店、カフェバーひろすえでアルバイトをしていた。その傍らには、あの日、共に命を落とした浪人で許婚である、六朗(ろくろう)の姿。だが、彼の姿や声は、三國にしか届いていなかった。


死を夢見る三國。その心が、死を遠ざけていると語る六朗。慶応二年のあの時代に、全てを置いてきた三國。